ページ上部に戻る

メニュー

 依頼者であるAさんは、亡X氏に金を貸したというYから、「あなたは亡Xの相続人なので、貸した金を返してほしい。」との請求を受けました。Aさんは、亡X氏という人物に全く心当たりがなかったので、Yの架空請求を疑い、怖くなって川﨑法律事務所に相談に来られました。
早速、担当弁護士が調査したところ、亡X氏はAさんのお父さんの腹違いの兄にあたり、約2年前に死亡していたこと、亡X氏と同腹の弟の子BさんとAさんの2人が相続人であることが判明しました。
     Yの請求が架空でないことは判明しましたが、その時点で亡X氏の遺産がどの程度のものか全く不明でした。そこで、担当弁護士において、相続放棄も視野に入れ、慎重に亡X氏の遺産を調査したところ、現金、預貯金、有価証券など時価数億円の遺産が存在することが判明しました。
     Aさんが相続する遺産総額は、Yの債権額を大きく上回っていたので、Aさんは亡X氏を相続することにしましたが、ここで大きな問題が発生しました。
     亡X氏の遺産の多くは上場株式だったのですが、亡X氏の死後に東日本大震災が発生し、相続開始当時(つまり亡X氏の死亡当時)よりも大幅に株価が下落していました。ところが、相続税は、相続開始当時の株価、つまり震災によって大幅に下落する前の株価を基準として課税されるため、Aさんが遺産相続しても、相続税を支払うと殆ど手元に遺産が残らない可能性が出て来たのです。
     そこで、担当弁護士は、川﨑法律事務所の協力税理士と協議し、株式による現物納税を求めて税務署と交渉を行いました。株式を現物納税する場合は、相続開始当時の株価で評価されるため、大幅に株価が下落した株式を現物納税することで、手元に残す遺産を増やすことができるのです。
     担当弁護士が協力税理士とともに粘り強く交渉した結果、無事、株式による現物納税を認めてもらい、その結果、Aさんの手元には数千万円の遺産を残すことができました。

コメント

 全く面識のない親族を相続した事案です。本事案では、弁護士による調査の結果、莫大な遺産の存在が判明しましたが、こういったケースは稀です。ただ、全く面識のない又は疎遠な親族の債権者を名乗る者から、「あなたは○○さんの相続人であるから、○○さんに代わってお金を支払え。」といった請求が届くことは珍しいことではありません。このような場合に、「自分が相続人であるはずがない。」と思い込み、そのまま放置していると訴訟を提起されることもありますので、すぐに弁護士に相談しましょう。
     また、本事案は、株式による現物納税が認められたことで、Aさんは多くの遺産を相続することになりました。このような事件処理ができたのは、信頼できる税理士との協力関係を築いている川﨑法律事務所だからこそといえるでしょう。

一覧に戻る