カテゴリー:ブログ 更新日時:2023年4月10日
今回のブログは、地方公務員の退職手当の相続についてです。
退職手当の相続は、職員が、①死亡により退職(以下「死亡退職」といいます。)した場合と、②退職後に死亡した場合で取扱いが異なります。
地方公務員の退職手当は条例で定める必要があるところ(地方公務員法24条5項、25条3項5号、地方自治法204条2項)、どこの自治体においても、死亡退職した職員の退職手当は「遺族」に支給するものと定めています。そして、「遺族」について、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹とした上で、その支給順位を定めています。通常は配偶者(事実婚含む)が第1順位となっていますので、死亡退職した職員に配偶者がいる場合は、配偶者に対して退職手当を支給することになります。この場合、退職手当を請求する権利(以下「退職手当債権」といいます。)は、条例の定めにより、はじめから配偶者に帰属することになり、死亡職員に帰属することはありません。したがって、退職手当債権は相続の対象になりません。
一方で、職員が退職後に死亡し、退職手当が支給されていない場合は、死亡退職にはあたらないので上記の条例の定めは適用されません。
この場合、退職手当債権は退職時に発生し、その時点では生存している職員に帰属します。したがって、退職手当の支給を受けないまま職員が死亡すると、退職手当債権は相続の対象となります。
例えば、死亡職員に配偶者と子2名がいる場合、その法定相続分に応じて、配偶者には2分の1、子らには各自4分の1の割合で、それぞれに退職手当を支給することになります。もし、配偶者に全額を支給する場合には、配偶者が退職手当債権を全て取得する内容の遺産分割協議書など子らの合意があることを証する文書を取得した上で支給するべきでしょう。
文責 片山賢志