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自筆証書遺言保管制度について

カテゴリー:ブログ 更新日時:2021年4月28日 

今回は、令和2年7月10日からスタートした「自筆証書遺言書保管制度」について、簡単に紹介します。

 

自筆証書遺言とは、民法に定められた遺言の方式の一つであり、遺言者が自筆で作成する遺言のことです。

自筆証書遺言は、遺言者が一人で作成できる点において、比較的簡単であるという利点がありますが、遺言書は自宅で保管されることが多いため、紛失・亡失したり、遺言書を見つけた相続人等関係者によって廃棄・隠匿・改ざんなどがなされるおそれがあります。

このような欠点に対応するために、公的機関が遺言書を保管する制度として新設されたのが、「自筆証書遺言書保管制度」です。

 

どのような制度か簡単に説明しますと、遺言書を法務局に預け、自分が亡くなるまで保管してもらうというものです。法務局は、遺言書の原本を保管するほか、これを画像データ化して保存します。

遺言者の死後、相続人等は、法務局に対して、遺言書の閲覧を求めたり、遺言書の内容を証明する文書(遺言書情報証明書)の交付を求めることができます。

また、相続人等の一人が遺言書の閲覧を求め、または遺言書情報証明書の交付を求めると、法務局は、他の相続人等に対しても、遺言書が保管されていることを通知します(関係遺言書保管通知)。なお、遺言者の死後、遺言者が予め指定した相続人等に対して、遺言書が保管されていることを通知する制度(死亡時の通知)も、令和3年度頃以降に本格的運用を開始するものとされています。

 

公的機関である法務局に遺言書を保管してもらうことで、遺言書の紛失・亡失や廃棄・隠匿・改ざんなどを防ぐことができます。

また、遺言書の把握が容易になることで、遺言書の存在を知らないまま、相続人等が遺言者の思いに反する遺産分割をしてしまうことを防ぐこともできます。

さらに、「死亡時の通知」の本格的運用が開始すれば、自分が生きている間は遺言書の存在・内容を誰にも知られたくないが、死亡後には関係者に確実に伝えたいといった場合に活用できるでしょう。

なお、通常、自筆証書遺言は家庭裁判所における検認という手続を経なければ、遺言書に基づいて相続等の手続をすることができませんが、「自筆証書遺言書保管制度」を利用した場合には検認は不要となります。

 

「自筆証書遺言書保管制度」を利用する場合に注意しなければいけないことは、この制度はあくまで遺言書を保管してくれるものに過ぎず、遺言内容の正確性・有効性や遺言能力の有無、遺言者の真意に基づく遺言であるかなどは担保されないということです。

法務局が預かってくれたからといって、遺言内容に「問題なし」とのお墨付きが与えられるわけではありません。

 

もし、遺言内容に不安がある場合には、法律の専門家である弁護士に相談の上で遺言書を作成されたほうが良いでしょう。

また、遺言の有効性について紛争が予想されるなど、場合によっては、そもそも自筆証書遺言ではなく公正証書遺言を選択したほうが良いこともありますので、いずれの方式によることが適当であるかについても弁護士に相談されることをお勧めします。

当事務所でも遺言の相談実績は多数ございますので、お気軽にご相談頂ければと思います。

弁護士 片山賢志