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兄弟が親の遺産を使い込んでいる?

カテゴリー:ブログ 更新日時:2021年7月9日 

相続に関するご相談の中で、他の相続人が、被相続人の遺産を使い込んでいるのではないか、というお話を伺うことがあります。例えば次のようなご相談です(架空の事例です)。

 

<Aさんの相談>

父親が亡くなった。既に母親は亡くなっており、相続人は私と、兄のBである。自分は父親と離れて生活しており、Bが父親と同居していた。法事の際、Bからは父親の遺産がほとんどないと聞いたが、父親は生前に500万円ほど預貯金を有していたはずなので、Bが勝手に父親の遺産を使ってしまったのかもしれない。

 

あるいは反対に、きょうだいから、勝手に親の遺産を使い込んだのではないかと疑われている、というご相談(つまりBさんの立場からのご相談)もあります。

 

さて、仮にBさんが父親の許可なく父親の預貯金500万円を引き出したとすれば、不当利得(民法703条)や不法行為(民法709条)に該当する可能性があります。この場合、父親はBさんに対して、引き出した500万円を返還せよと請求できる権利があります。

 

そして、父親がこの請求権を行使せずに亡くなった場合、この請求権も相続の対象になります。今回のご相談のケースですと、相続分(遺言がない場合)はAさんとBさんで2分の1ずつですから、Aさんは父親からこの請求権の2分の1を相続することになります。

 

したがって、AさんはBさんに対し、250万円を支払うよう請求することが考えられます。

 

ここで、AさんとBさんとが話し合ってお互いに合意できればよいのですが、言い分が食い違って合意できない場合には、AさんがBさんに対して訴訟を提起しなければなりません。

 

訴訟においては、基本的に原告であるAさんに立証責任がありますから、Bさんが父親の預貯金を下ろしたのかどうか、下ろしたとすればそのことについて父親の同意があったのか等について資料を収集して提出しなければなりません。

他方Bさんとしては、Aさんの主張に反論するとともに、仮に父親の同意なく父親の預貯金を下ろしたということがあったのであれば、その使途について資料に基づいて説明しなければなりません。

 

遺産の使い込みを巡る訴訟においては、例えば預貯金の取引履歴や、入通院先のカルテ、生活状況等に関する当事者の証言など、様々な資料を収集・整理して、自らの主張を裏付けていく必要があります。

 

このように、遺産の使い込みの有無に関するトラブルでは、訴訟になっていない段階から、法的な観点に基づいた準備をしなければなりません。

 

他の相続人が被相続人の遺産を使い込んでいるのではないかと思われる、あるいは他の相続人から自分が被相続人の遺産を使い込んだのではないかと疑われている、といった方は、お早めに弁護士に相談されることをおすすめいたします。

 

川﨑法律事務所では、このようなご相談を含め、遺言・相続に関するご相談を多数承っております。ご相談いただくだけでも、今後の方針が整理されることもありますので、何を相談して良いか分からない、という場合でもお気軽にお問い合わせ下さい。

弁護士 大寺健太