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相続や遺言の話はまだまだ先のことでいいですか

カテゴリー:ブログ 更新日時:2023年1月23日 

 

みなさんはお元気ですから、ご自分の財産をご家族がどのように相続するかという話は、先のこととお考えかも知れません。とはいえ私のような弁護士に相談される内容には相続とか遺言の話が多いのは事実です。

 

もし、あなたが誰かに財産を相続させようと思うなら、遺言書を作成して、誰に何を相続させるかを書き残す方法があります。

 

遺言書は、自分で書く自筆遺言書と、各地の公証人役場(奈良市と大和高田市)で公証人に作成してもらう公正証書遺言があります。自筆遺言書は、どの財産を誰に相続させるかの文章を全て自筆で書き、作成年月日と署名も自筆で書いて押印すれば作成できます。(財産目録だけはパソコン等で作った書面を使えます。)

 

日本では、遺言書を作成した方の割合は、75歳以上でも1割位です。遺言書を残すと、家族が自分のことをどう思うかが気になり、作成をためらう気持ちもあるようです。

 

遺言書はいつでも自分で書き直すことができるので、最後の日付の遺言書が有効となります。

 

遺言書を作成していない方が亡くなられた場合には、法律上の相続人となる人「法定相続人」が全員で同意しない限り、遺産の分割協議は成立しません。その場合には、家庭裁判所の調停手続(話し合い)を利用して遺産分割協議を進めます。

 

そこで次のような場合には、残られるご家族のために遺言書を作成するかどうかを考慮されるほうが良いと思われます。

 

夫が再婚して、前の妻との間の子供と、後の妻との間にも子供がある場合は、親の違う子供同志が考え方の違うことがあり、夫の遺産の分割の仕方をめぐって話し合いが円滑に進まないことがあり得ます。

 

夫婦の間に子供がないときに、夫から妻に対して家土地など全財産を相続させたい場合に、遺言書がないと、夫に兄弟姉妹があると、妻が遺産の4分の3、夫の兄弟姉妹が4分の1の相続分を取得するので、妻が一人で全ての夫の遺産を相続するためには夫の兄弟姉妹の同意が必要になります。

 

自分は一人息子で、親は亡くなり、兄弟もなく、妻子も子孫もいない場合には、民法では法定相続人がいないため、遺産は国に帰属します。叔父叔母やその子供は法定相続人になれません。遺産の国庫帰属を避けるには、遺言書を作成して近い身内の誰かに遺産を遺贈するか、後事を託せる親戚などと養子縁組する方法があります。

 

自分の妻や子供のなかにあまり仲が良くない者がいる場合には、程度にもよりますが、自分の遺産を巡って家族が相争う可能性が見え隠れするときは、そんな争いを防ぐ方法を考えておく必要もあるでしょう。

 

自分の土地のうえに、数人の子供のうちの一人に子供の家を建てさせてあげている場合は、他の相続人の承諾がないと、その子供が自宅の建つ土地を円滑に相続できませんから、その子供さんに土地を相続させてあげる遺言はあった方がいいと思います。

 

相続人以外の人に、自分の財産の一部を分け与えたい場合は、遺言書を作成しないと、そのようなことはできません。

 

遺言書は保管場所も大切です。親しい家族身内には遺言書の存在を知らせておいた方が良いでしょう。誰にも分からないまま遺言書が発見されないと、遺言をした意味がありません。

 

家族身内がみんな仲良く思いやりのある方でしたら、ここでお話ししたような配慮もいりませんが、世間はいろいろです。もし相続のことなどいろいろお考えになる時は、弁護士など専門家に気軽に相談されるのも有益でしょう。

 

弁護士 川﨑祥記