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訴訟に関する議会の議決について

カテゴリー:ブログ 更新日時:2023年3月27日 

Q:地方自治体が原告として訴訟を提起する場合、議会の議決は必要ですか?

 

A:必要です。

 

<解説>

地方自治体が原告として訴訟を提起する場合、地方自治法96条1項により、議会の議決が必要です。
訴訟を提起するには訴状を裁判所に提出するのですが、その際の添付資料として、訴訟提起の議決証明書を提出することとなります。

 

したがって、例えば損害賠償請求をしたいが時効が迫っている、というような場合でも、訴え提起までに一定の時間を要することを見込んでおく必要があります。

 

また、通常の訴訟提起ではなくとも、地方自治体が申し立てた支払督促(民事訴訟法382条以下)に対して、債務者が督促異議(同法390条)を申し立てたときには、この請求について訴えの提起があったものとみなされるところ(民事訴訟法395条)、この訴訟についても議会の議決が必要です(最高裁判所昭和59年5月31日判決・民集38巻7号1021頁)。

 

さらに、議会の議決を得て訴訟を提起した後でも、和解や控訴の際には議会の議決が必要となる場合があるため、各手続についても注意が必要です。控訴に関しては、地方自治法96条1項12号に明示はされていませんが、「訴え提起」に含まれるものとして議会の議決を得ることが一般的な対応と考えられます。

 

以上のとおり、地方公共団体が訴訟を行う場合、特に地方公共団体が原告として訴訟を提起する場合には、議会との関係にも留意しつつ、手続を進めなければなりません。

 

弁護士 大寺健太