メニュー

ご相談予約フォーム24時間受付ご相談予約フォーム24時間受付

ブログ

審理員の資格について

カテゴリー:ブログ 更新日時:2023年4月3日 

 

今回のブログは、審査請求における審理員の資格について判断した裁判例(東京高判令和元年5月21日)の紹介です。

 

審理員の資格は行政不服審査法9条2項に定められていますが、その解釈を示した裁判例は珍しいのではないかと思います。

裁判で争点となったのは、行政不服審査法9条2項1号の「審査請求に係る処分に関与した者」の解釈適用です。

上記裁判例では、「審査請求に係る処分に関与した者」とは、「審査請求に係る処分を行うか否かの判断に関する事務を実質的に行った者や、当該事務を直接又は間接に指揮監督した者」をいい、これに該当するか否かは、「当該処分の決定に実質的に関与したか否かという観点から判断すべきであり、審査請求の対象となっている処分に係る協議に参加した者や当該処分の決定に関する相談等に応じ、これに対する意見や法令解釈を示した者は処分に関与した者に該当する一方、当該処分の根拠法令について一般的な解釈を示しただけの者はこれに該当しない。」と判示されました。

 

上記裁判例で判示された内容は、従来から書籍等で解説されていたとおりのものですが、高裁レベルで「審査請求に係る処分に関与した者」に該当するかの判断基準が示された点において意義があるものです。

 

最近では、職員として採用した弁護士に審理員を任せる自治体もありますが、当該弁護士職員が具体的な処分について相談を受け、これに対する意見や法令解釈を示した場合には、当該処分にかかる審査請求については審理員の資格を欠くことになるので注意が必要です。

弁護士 片山賢志