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X社は、店舗及びその駐車場として、土地建物をY社に賃貸していました(賃料月額100万円、敷金2400万円)。当初契約では敷引特約を定めており、その敷引割合は、契約が5年未満で終了したときは100%、10年未満で終了したときは50%、15年未満で終了したときは25%、15年以上の場合は10%というものでした。
契約締結から2年程経ったころから、Y社による賃料の支払いは遅れがちとなりました。
X社の代表者Aさんは、Y社の業績が悪化しているのではないかと心配になりましたが、できるだけY社に事業を継続して貰いたいと考え、賃料の減額を検討するようになりました。川﨑法律事務所は、以前から、Aさんとお付き合いがありましたので、X社とY社の契約見直しについてもアドバイスをさせて頂くことになりました。
X社は、担当弁護士のアドバイスに基づき、賃料を月額100万円から60万円に大幅に減額すると同時に、賃料減額はY社にできる限り長く事業継続して貰うためことが目的であるので、敷引特約にかかる敷引割合を、契約が15年未満で終了したときは100%、20年未満で終了したときは70%、25年未満で終了したときは40%、25年以上の場合は20%というように大幅に改めることとし、Y社との間で変更契約を締結しました。 その5年後、残念ながらY社は業績悪化により賃料が支払えなくなり、担当弁護士がY社との土地明渡交渉を行うことになりました。賃貸していたのは大きな店舗であり、店舗内だけでなく駐車場にも多くの在庫商品が保管されていたため、完全な土地明渡が完了するまで1年以上要しましたが、10年未満の契約終了であったため敷金2400万円は全てX社が取得することになり、X社としては大きな損害を回避することができました。

コメント

事業者同士の賃貸借トラブルの事案です。
本事案のように事業者に店舗を賃貸する契約においては、貸主側としても、できるだけ事業が継続して欲しいと願うものです。本事案のAさんも、Y社による事業継続を願い、賃料の大幅な減額を決断したものですが、そのことが仇となってX社に損害が生じないようにと考え、担当弁護士から敷引割合の変更をアドバイスさせて頂きました。
賃料減額と同時に敷引割合を変更したことが、結果的に有利な解決につながりました。このように、将来生じ得る紛争を想定し、契約を締結し、また見直すことが紛争を予防する上で重要です。
不動産に関する契約について不安がおありの方は、お気軽に川﨑法律事務所にご相談下さい。
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