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賃貸借契約と連帯保証人

賃貸借契約には、連帯保証人をつけることが一般的です。

では、賃貸借契約の連帯保証人はどのような責任を負うのでしょうか。

 

・保証とは

民法446条1項には、「保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。」と規定されています。

賃貸借契約で言えば、この「主たる債務者」とは賃借人のことになります。従って、賃借人が、賃貸借契約に関して支払うべきお金を賃貸人に支払わない場合に、保証人が賃借人の代わりに支払わなければならないということになります。

この「賃貸借契約に関して支払うべきお金」の典型例は家賃ですが、これだけではありません。民法447条1項には、「保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。」と定められています。従って、例えば、家賃の滞納についての遅延損害金や、原状回復(不動産を返還するときに借りたときの状態に戻す義務)にかかるお金もこれに含まれます。

 

・保証と連帯保証

ただ、実際には、連帯ではない単なる保証契約を締結することはほとんどなく、「連帯」保証契約となっていることが通常です。

では、「連帯」とはどのような意味なのでしょうか。

連帯保証ではない単なる保証人は、賃貸人から賃料などを支払うように請求された場合に、賃貸人に対して「催告の抗弁」と「検索の抗弁」という主張をすることができます。

これらの主張の詳細は割愛しますが、要するに、連帯保証人ではない保証人は、賃貸人に対して、賃借人から賃料などを回収できるのであれば、まずは賃借人から賃料などを回収するべきであって、保証人に責任を追及するのはその後である、と主張できるのです。

しかし、連帯保証人は、この「催告の抗弁」と「検索の抗弁」を主張することができません。したがって、賃貸人が、賃借人に家賃などを請求せずに、いきなり連帯保証人に家賃などを請求してきた場合でも、連帯保証人は支払を拒絶できないのです。実際にはこのような請求はあまりないと思われますが、法律上は、連帯保証人は賃借人とほとんど同様の責任を負っているといえます。

 

以上のとおり、賃貸借契約の連帯保証人は、賃貸借契約に伴って生じるさまざまな債務を負担することになります。