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賠償金の増額  約100万円

 

Aさんは、甲車両(普通乗用車)を運転し、交通整理の行われていない交差点を左折しようとしました。Aさんは、交差道路が優先道路であったため、左折前に一旦停止し、右方から直進して来るBさん運転の乙車両(普通乗用車)が、まだ十分に離れていることを確認した上で、左折を開始しました。Aさんが、甲車両の前部が、交差道路の左方から直進してくる車両に接触しないように慎重に左折をしていたところ、乙車両が殆ど減速することなく甲車両に衝突してきたという事案です。
このような交通整理の行われていない交差点における出合い頭の衝突の場合、原則の過失割合はAさん「9」、Bさん「1」であり、Bさんの過失を理由に修正する場合であっても、せいぜい、Aさん「7」、Bさん「3」に修正されるに止まります。実際、示談交渉において、Bさんの保険会社は、Aさん「9」、Bさん「1」の過失割合を主張し、全く譲歩しませんでした。
しかし、Aさんは、左折を開始した時点において乙車両は交差点から十分に離れた場所を走行していたことや、左折開始から衝突までに相当な時間があったことから、Bさんが十分に前方を注視し、衝突回避のために乙車両を停止していれば、事故は避けられたのであるから、自身の過失割合が「9」もあるのは常識的に考えておかしいと考え、川﨑法律事務所に相談に来られました。
担当弁護士は、Aさんの主張はもっともであると考え、Bさんの保険会社と交渉しましたが埒が開かず、Bさんを被告として損害賠償請求訴訟を提起しました。訴訟において、担当弁護士は、甲車両に備え付けられていたドライブレコーダーの映像を分析した証拠を提出したほか、現場道路の状況、甲車両と乙車両の損傷個所・程度などについて緻密な主張立証活動を行い、甲車両の左折開始時点において、乙車両が交差点から約2、300メートル離れた場所を走行していたこと、左折開始から衝突まで約10秒経過していたこと、乙車両が衝突直前まで殆ど減速することなく漫然と走行していたこと、Bさんが甲車両を全く見ていなかったこと、衝突時には甲車両が左折をほぼ完了していたことなどを立証することに成功しました。
その結果、判決では、過失割合はAさん「4」、Bさん「6」と認定され、最終的な賠償金額は保険会社の当初提示額から約100万円増額され、Aさんとしても十分に納得のできる結論となりました。

コメント

過失割合の原則が大幅に修正された事案です。過失割合については、道路交通法等法令に基づいた一応のルールが存在し、そのルールに従えば、本事案のようなケースは9:1というのが過失割合の原則でした。
しかし、担当弁護士は、本事案は形式的にこのルールを適用すべき事案ではないと考え、事故状況を証拠に基づいて丁寧に主張することにより、判決では4:6と大幅に修正された過失割合を認めてもらいました。
なお、本事案においては、甲車両に搭載していたドライブレコーダーが立証に大変役立ちました。ドライブレコーダーは安価なものであれば1万円程度で取り付けることができ、万が一交通事故に遭ったときには事故状況の再現を容易にするものですから、自動車に取り付けておいて損はないものと思います。

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